素因数分解を使うと、約数の個数や総和、総積などいろいろなものを求めることが出来ました。
習ったばかりの頃は素因数分解をすることそのものが目的で役に立ちにくそうだったのが嘘のようにいろいろな問題で役立ちます。
今回は約数の逆数の総和を求めてみたいと思います。
こういう問題は1度解いたことがあればなんてことはないのですが、もしこの問題と出会ったのが受験本番だったら、焦っちゃいますよね。
約数の逆数の総和って知っていればそんなに難しい計算もないのですんなりできます。
初見で解くとなったなった場合は素直にそのまま立式してみると意外と解けちゃったりします。
今回の問題は易しい数でどんな感じになるのかを考えてみると大きな数の場合にどうすればいいかも見えるかと思います。
まずは小さな数でどんな風にすれば出せそうか考えながら解き方を探していってみましょう。
約数の逆数の総和を求めてみよう。
いきなり大きな数字の約数の逆数の総和を求めるとイメージしずらいので小さな数の約数の総和から求めてみましょう。
12の約数の逆数の総和を求めましょう!
<例題>
12の約数の逆数の総和を求めましょう。
まずは12の約数をすべて書き出してみます。
12の約数をすべて書き出してみると$$1,2,3,4,6,12$$となります。
ここまでは大丈夫ですね。
12の約数の逆数の和は、
$$\frac{1}{1}+ \frac{1}{2}+ \frac{1}{3}+ \frac{1}{4}+ \frac{1}{6}+ \frac{1}{12}$$
となります。
これらをすべて通分しましょう。
分母はすべて12の約数なので分母の最小公倍数は12なので分母を12にします。$$=\frac{12\cdot 1}{12\cdot 1}+ \frac{6\cdot 1}{6\cdot 2}+ \frac{4\cdot 1}{4\cdot 3}+ \frac{3\cdot 1}{3\cdot 4}+ \frac{2\cdot 1}{2\cdot6}+ \frac{1}{12} $$
分母がそろったので、1つにまとめてみましょう。
$$=\frac{12+6+4+3+2+1}{12}$$$$=\frac{28}{12}$$$$=\frac{7}{3}$$
よって12の約数の逆数の総和は\(\frac{7}{3}\)ということになります。
勘のいい方は気づかれましたか?
よく式を見てくださいね!
もう1問解いてみましょう。
42の約数の逆数の総和を求めよう!
<例題>
42の約数の逆数の総和を求めましょう。
先ほどと同じように約数をすべて書き出してみます。
42の約数をすべて書き出してみると$$1,2,3,6,7,14,21,42$$の8つの約数になります。
12のときと同じように逆数にして足してみましょう。$$\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{6}+\frac{1}{7}+\frac{1}{14}+\frac{1}{21}+\frac{1}{42}$$
分数の足し算なので通分して分母を揃えます。$$=\frac{42\cdot 1}{42\cdot1}+\frac{21\cdot1}{21\cdot2}+\frac{14\cdot1}{14\cdot3}+\frac{7\cdot1}{7\cdot6}+\frac{6\cdot1}{6\cdot7}+\frac{3\cdot1}{3\cdot14}+\frac{2\cdot1}{2\cdot21}+\frac{1}{42}$$
分数を1つにまとめてみましょう。
$$=\frac{42+21+14+7+6+3+2+1}{42}$$$$=\frac{96}{42}$$$$~\frac{16}{7}$$
よって42の約数の逆数の総和は\(\frac{16}{7}\)となります。
約数の逆数の総和を求める公式は?
12と42の約数の逆数の総和を求めてみましたが、ちょっと気付くことはありませんか?
12のときの途中式$$\frac{12+6+4+3+2+1}{12}$$
42のときの途中式$$\frac{42+21+14+7+6+3+2+1}{42}$$
どちらも分子は約数の総和、分母は与えられた数そのものになっています。
つまり約数の逆数の総和は\(\frac{約数の総和}{与えられた数}\)で求められるということになります。
与えられた数が12のときは$$\frac{(2^0+2^1+2^2)(3^0+3^1)}{12}$$で求められ、与えられた数が42の時は$$\frac{(2^0+2^1)(3^0+3^1)(7^0+7^1)}{42}$$で求められるということですね。
約数の総和が分からないときは下の記事を読んでみてくださいね!
・約数の総和を素因数分解から求める公式は?
まとめ
今回は約数の逆数の総和でした。
きちんとやり方が見えれば問題から受ける印象よりもすんなり解くことが出来ます。
約数の逆数の総和を求めるなんて、なにも考えずにやってしまうと通分する段階でめげてしまいそうですよね。
ある数の約数の逆数の総和なのでまずは通分したときの分母がある数となることに気づけばそれが問題を解く第一歩になります。
ここに気づかないとなかなか自虐的な計算が待っていることになります。
やみくもに計算はしたくないものですよね。
分母がある数そのものになることが分かれば、実際に式を立てて試しに通分していけば、分子が約数の総和になっていることは意外と気づけるのではないかと思います。
そこに気付くことができれば自分自身で試験中に公式をつくることもできそうですね。
約数の総和の出し方を知らなければ思いついても大変かもしれませんが…笑
せっかくなのでしっかり覚えておいて、きちんともと求められるようにしておきましょう。