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素因数分解を使って偶数の約数の総和を求める!12の倍数のときはどうする?

前回の記事の「約数の総和を素因数分解から求める公式は?」では素因数分解を使った約数の総和[1]ある数の約数を全てを足したものを求めてみました。

今回はもう少し発展して約数の総和全てではなく約数の中でもちょっと条件があるものを扱ってみたいと思います。

例えば「約数の中でも偶数のみの総和」などです。

素因数分解を使って偶数の約数の総和を求めよう!

まずは素因数分解を用いて偶数の約数の総和を求めてみましょう。

<例題>
次の数の偶数の約数の総和を求めよ。
①\(1080\)

前回に引き続き\(1080\)を使ってやっていきます。
早速素因数分解をしてみます。
$$1080=2^3+3^3+5$$

ここでちょっと横道にそれますね。

素因数分解したある約数のうち偶数ってどれ?

\(1080\)の偶数の約数の総和を求めるのですが、そもそも偶数ってどんな数でしょう?
そんなバカにするなって言われそうですがちょっとお付き合いくださいね。

偶数というのは\(2\)の倍数のことですよね。
素因数分解したときに\(2\)を因数に持てば\(2\)の倍数になるので、\(2\)を因数に持つ約数の合計とも見ることができます。
\(2\)を因数にもつものだけを書き出すよりも総和からどの部分が偶数になるかを見ていった方が分かりやすいと思うので、総和から考えていきましょう。

\(1080\)の総和は
\((2^0+2^1+2^2+2^3)(3^0+3^1+3^2+3^3)(5^0+5^1)\cdots\)①
で求めることが出来ました。

\(2\)を因数に持つ数なのか持たない数なのかはこの状態だと分かりにくいのでちょっといじりますね。

\((3^0+3^1+3^2+3^3)(5^0+5^1)=A\)と置きます。

①に代入すると、
\((2^0+2^1+2^2+2^3)A\)

式を展開して、
\(2^0A+2^1A+2^2A+2^3A\)
という形になります。

1番はじめの項が\(2^0=1\)なので、1番はじめの項は\(2\)を因数に持たないため奇数ということが言えます。
つまり後ろの\(2\)項を足せば、\(1080\)の偶数の約数の和を足したことになるということになります。

求める\(1080\)の偶数の約数の和は、
\(2^1A+2^2A+2^3A\)となります。
このままAを元に戻して計算するとちょっと面倒なので、もう一度元の形に戻してから計算します。

\((2^1+2^2+2^3)(3^0+3^1+3^2+3^3)(5^0+5^1)\)
\(=(2+4+8)(1+3+9+27)(1+5)\)
\(=14\cdot 40\cdot 6\)
\(=3360\)
という形になり、答えは\(3360\)になります。

偶数の和を求めるというのを\(2\)の倍数と読み替え、\(2\)を因数にもつ約数の合計を求めれば良いと考えられるとすんなりいきますね。

同じように考えると偶数の約数の和だけでなく、何かしらの倍数の和も求められることになります。

同じ\(1080\)の\(5\)の倍数の約数の和を求めてみましょう。

\(5\)の倍数ということなので、\(5\)を因数に持つ約数の合計を出せば良いということですね。
偶数の約数の和を求めるときと全く同じです。
表現的には偶数の約数の和を求める方が難しいかもしれませんね。

\((2^0+2^1+2^2+2^3)(3^0+3^1+3^2+3^3)\cdot 5^1\)
ということになります。

あとはこれを計算して、
\((1+2+4+8)(1+3+9+27)\cdot 5\)
\(=15\cdot 40\cdot 5\)
\(=3000\)
となります。

よって、\(1080\)の\(5\)の倍数の約数の合計は\(3000\)ということになります。

12の倍数の約数の総和は?

今までの\(2\)題は素数だったのでしやすかったのですが、今度は\(12\)の倍数の約数の和を求めてみましょう。
まずは\(12\)の倍数がどんな条件かを考えます。
\(12\)を素因数分解すると\(12=2^2\cdot 3\)となります。

\(1080\)の約数のうち\(12\)の倍数になるのは\(2^2\cdot 3\)を因数に持つ数ということになります。
よって
\((2^2+2^3)(3^1+3^2+3^3)(5^0+5^1)\)
ということになります。

あとは計算をして、
\(=(4+8)(3+9+27)(1+5)\)
\(=12\cdot 39\dot 6\)
\(=2808\)
ということになります。

素因数分解が出来るだけでなく○○の倍数といわれたときにどんな数であればその倍数になるのかきちんと理解しておいてくださいね。

今回はある倍数の約数の総和を求めましたが、これを使うのは数がある程度大きいときだけで大丈夫です。

中学3年生でこのページに来た子がいたとしたら、この解法ではなく純粋に数えるやり方が(多分)正解です。
気にせず数えちゃいましょう。

まとめ

今回は偶数の約数の総和から素数でない倍数の約数の総和の求め方をしました。
きちんと素因数分解を理解することは勿論ですが、倍数に関することもきちんと分かっておいてくれると嬉しいです。

\(3\)の倍数は\(3\)を因数に持ちますし、\(15\)の倍数であれば\(15\)を因数に持つと解釈できるとばっちりですね。
ただし偶数の時だけちょっと表現が違うのできちんと\(2\)の倍数だから\(2\)を因数に持つ数だと読み替えられるようにしておきましょう。

約数の総和(偶数の約数に限らず全ての約数の和)の求め方がよくわからないときはこちらを見てみてください。

約数の総和を素因数分解から求める公式は?
素因数分解まとめにもどる

References

References
1 ある数の約数を全てを足したもの