ルートのついた掛け算ってどうして、ルートの中の数字同士を掛けることができるのでしょうか。
丸暗記をしてもそんなに困らないと思いますが、ルートの理解を深めるには絶好の材料ではないでしょうか。
今回の記事では、足し算や引き算ではそのまま計算できなかったのに、ルートのついた掛け算の計算がなぜルートの中の数字を掛けることができるのかについて書いてみたいと思います。
数学のルートの掛け算の計算ができるのはなぜ?
それでは早速例題を見ていきましょう。
\(3\sqrt{5}\times 2\sqrt{7}\)
計算をしてみると、答えは\(6\sqrt{35}\)となります。
計算方法としては、ルートの外にある数同士を掛け合わせて、さらにルートの中の数を掛け合わせるというイメージでしょうか。
この計算式をちょっと形を変えてみると、
\(3\sqrt{5}\times 2\sqrt{7}\)
\(=3\times \sqrt{5} \times 2 \times \sqrt{7}\)
順番を変えて、計算してみると、
\(=3\times 2 \times \sqrt{5} \times\sqrt{7}\)
\(=6\times \sqrt{5} \times \sqrt{7}\)
となります。
係数があるないは計算には関係なさそうなので、この計算では\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)の部分がなぜ\(\sqrt{3\times 5}\)になるのかを考えてみましょう。
なぜルートのついた掛け算では\(\sqrt{5}\times \sqrt{7}=\sqrt{5\times 7}\)となるの?
\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)でルートの中を掛けることができるのはなぜなのでしょうか。
そのまま考えてみても、難しそうなので、\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)を2乗してみましょう。
\( (\sqrt{5} \times \sqrt{7})^2\)を計算すると、
\(=(\sqrt{5} \times \sqrt{7})(\sqrt{5} \times \sqrt{7})\)
\(=5\times 7\)
\(=35\)
となります。
35は元の式\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)を2乗したものなので、35の平方根[1]2乗してある数になる数をある数の平方根と言います。が、\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)の平方根と言うことになります。
さらに、\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)の値は正の数なので、35の平方根のうち正の数の方が\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}\)の値と言うことになります。
35の正の平方根は\(\sqrt{35}\)なので、\(\sqrt{5} \times \sqrt{7}=\sqrt{35}\)ということが分かります。
同じように考えると、教科書にある公式$$\sqrt{a} \times \sqrt{b}=\sqrt{ab}$$という公式を導くことができます。
\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}\)を2乗してみます。
\( (\sqrt{a} \times \sqrt{b})^2\)
\(=( \sqrt{a} \times \sqrt{b})(\sqrt{a} \times \sqrt{b})\)
\(= (\sqrt{a}\times \sqrt{a})( \sqrt{b} \times \sqrt{b}) \)
\(=ab\)
と、なります。
次に\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}\)を2乗すると\(ab\)ということが分かったので、\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}\)がいくらになるのかを考えます。
\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}\)を2乗すると\(ab\)なので、\(ab\)の平方根の正の数の方、\(\sqrt{ab}\)が、\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}\)ということになります。
つまり、\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}=\sqrt{ab}\)ということになります。
まとめ
今回の記事では、足し算や引き算ではそのまま計算できなかったルートの計算が、掛け算の時はなぜルートの中同士を計算することができるのかについて書いてみました。
\(\sqrt{2}\)や\(\sqrt{5}\)のようなルートがついた数字の場合、数字なのか文字なのかがとても分かりにくくなります。
足し算引き算では、\(2x+3x=5x\)のように\(2\sqrt{5}+3\sqrt{5}=5\sqrt{5}\)と、ルートを文字と同じような扱いをすることができました。
しかし、\(\sqrt{2}\times \sqrt{3}=\sqrt{6}\)のような掛け算や\(\sqrt{6}\div \sqrt{3}=\sqrt{2}\)のようなルートのついた数同士の割り算では、足し算や引き算の場合とは違い\(6\times 3=18\)のように文字ではなく、数字のような側面も見られます。
はじめのうちは、うまく計算が出来ないと思いますが慣れてくるとスムーズに計算ができるようになることが多いです。
ただこの\(\sqrt{a} \times \sqrt{b}=\sqrt{ab}\)を使っただけで計算していくと、どうしてもルートの中の数が大きくなってしまい計算しにくくなってしまうことがよく起こります。
計算の練習をする時にはきちんと計算のコツをつかみながらルートの計算をするといいと思います。
単に量をこなすだけではルートの中の数字が大きくなりすぎて、どうしていいのか分からないなんてことになってしまうこともあります。
・ルートの掛け算の計算のコツはこちら
References
↑1 | 2乗してある数になる数をある数の平方根と言います。 |
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