平方根やルートの扱いに慣れてきたらいよいよルートの足し算や引き算です。
ルートがついた数は、無理数といって循環しない小数になります。
分数では表すことが出来ないために、少し特殊な扱いをして計算します。
今回の記事では、ルートの中を小さくする必要がないルートの足し算や引き算について書いてみたいと思います。
ルートの中が同じ足し算や引き算の計算方法って?
ルートって数字のように見えますよね。
実際、数字が文字かと考えてみると数字ではあるのですが、数字に見えるという子は少ないと思います。
それでは例題を使ってルートの足し算や引き算をみていきましょう。
(1)\(2\sqrt{2}+3\sqrt{2}\)
(2)\(4\sqrt{5}-\sqrt{5}\)
(1)から考えてみましょう。
\(2\sqrt{2}+3\sqrt{2}\)の前の項は\(\sqrt{2}\)が2つ、後ろの項は\(\sqrt{2}\)が3つです。
それらを合わせると、\(\sqrt{2}\)が5つになるので、答えは\(5\sqrt{2}\)となります。
文字式の時とやり方が似ていますね。
次に(2)をみてみましょう。
\(4\sqrt{5}-\sqrt{5}\)の前の項は、\(\sqrt{5}\)が4つ、後ろの項は\(\sqrt{5}\)が1つという意味です。
4つある\(\sqrt{5}\)から、\(\sqrt{5}\)を1つ引けばいいので、\(\sqrt{5}\)は3つということになり、答えは\(3\sqrt{5}\)となります。
文字式の時とやり方は同じ感じですね。
ルートの中が違う時の加減法の計算の仕方
次にルートの中が違う項が混ざった計算の仕方をみてみます。
それでは例題で考えてみましょう。
(1)\(2\sqrt{3}+4\sqrt{2}+\sqrt{3}\)
(2)\(5\sqrt{7}-2\sqrt{3}-3\sqrt{7}\)
ルートの中が違う時の加減法のやり方をみていきましょう。
(1)の\(2\sqrt{3}+4\sqrt{2}+\sqrt{3}\)をみてみると、\(\sqrt{3}\)を2つと、\(\sqrt{2}\)を4つと、\(\sqrt{3}\)を1つ合わせればいいので、答えは\(3\sqrt{3}+4\sqrt{2}\)となります。
(2)の\(5\sqrt{7}-2\sqrt{3}-3\sqrt{7}\)を同じようにみてみると、5つある\(\sqrt{7}\)から、\(2\sqrt{3}\)と\(3\sqrt{7}\)を差し引けばいいので、答えは\(2\sqrt{7}-2\sqrt{3}\)となります。
どうしてルートの中同士を足したり引いたりしてはいけないの?
ここで疑問になるのが、\(\sqrt{2}+\sqrt{3}\)という計算があったときに、ルートの中同士を足して\(\sqrt{5}\)としてはダメなのかということだと思います。
結論としてはだめなのですが、なぜこれがダメなのかを考えみましょう。
もし、ルートの中身同士を足しても良いとすると、こんな等式が成り立つはずです。$$\sqrt{a}+\sqrt{b}=\sqrt{a+b}$$この等式が成り立たないことが分かれば、ルートの中身同士を足してはダメだということになります。
両辺を二乗して確認してみよう
左辺を2乗してみると\(a+2\sqrt{ab}+b\)となります。
右辺を2乗すると、\(a+b\)となります。
2乗して左辺と右辺を比較してみると\(a+2\sqrt{ab}+b\neq a+b\)となり、等しくないことが分かりました。
図で考えてみると、こんな感じですね。
下の左の図は、左辺\(\sqrt{a}+\sqrt{b}\)を二乗したものを面積であらわした図です。
右の図は、右辺\(\sqrt{a+b}\)を二乗したものを面積であらわした図です。
やはり同じにはなりません。
ルートの中同士は足してはダメということが分かりますね。
引いてもダメ?
先程と同じように考えてみましょう。
引いても大丈夫なのであれば、$$\sqrt{a}-\sqrt{b}=\sqrt{a-b}$$この式が成り立つはずです。
左辺を2乗してみると、\(a-2\sqrt{ab}+b\)となります。
右辺を2乗してみると、\(a-b\)となります。
左辺と右辺を2乗したものを比較すると、\(a-2\sqrt{ab}+b\neq a-b\)となり、ルートの中同士をひいてはだめだということが分かりました。
練習問題
1、\(\sqrt{3}+2\sqrt{2}+4\sqrt{2}\)
2、\(7+\sqrt{3}+2\)
3、\(4\sqrt{2}-\sqrt{2}+1\)
4、\(8\sqrt{7}-2\sqrt{3}+7\sqrt{3}\)
解答
1、\(\sqrt{3}+6\sqrt{2}\)
2、\(9+\sqrt{3}\)
3、\(3\sqrt{2}+1\)
4、\(8\sqrt{7}+5\sqrt{3}\)
まとめ
今回の記事では、ルートの中を小さくする必要がないルートの足し算や引き算について書いてみました。
ルートの加減法についてはまずは、計算の仕方をマスターすることが大事です。
慣れるまではついルートの中同士を足してしまったり、引いてしまったりする子もいます。
どうしてもルートの足し算や引き算がうまく計算ができないときは、文字のような感じだと思って計算すると計算しやすいと思います。
ただ、文字とは違う点もあるので、その当たりは計算をしていく中で慣れて、理解を深めていくといいと思いますよ。